研究・教育 Research/Education

臨床研究の実施・支援体制の構築および発展に向けた取り組み

臨床研究管理センターの講座として、研究計画の立案、臨床研究コーディネート、データマネジメント、医療統計等、種々の対応・支援を行うとともに、各分野に長けた臨床研究エキスパートの育成にも繋げていきます。実際に、医師主導治験の立ち上げおよび支援、新規投与経路製剤の開発におけるプロジェクトマネジメントおよびPhase-1薬物動態試験といった本学初の臨床試験にも携わっています。

加えて、臨床研究の推進における課題に対する改善策やシステムの発展に関する検討も行っています。例えば、多施設の臨床研究データをWEBで収集・管理するための電子的データ収集システム(EDC)であるREDCapを導入しており(図)、学内の多施設レジストリ研究の推進に寄与しています。関心のある方はお問合せ先(データセンター:date@med.u-toyama.ac.jp)までご連絡ください。これらの活動を通じて、特定臨床研究やレジストリ研究をはじめとする本学の臨床研究の活性化に繋げていきます。また、学内外のリソースを活用した医療データの利活用に関する研究や人材育成にも取り組んで行きます。

糖尿病に対する先端医療の開発に資する研究

1型糖尿病は、膵臓に存在するインスリン分泌細胞(膵β細胞)が自己免疫により破壊され、インスリン分泌が極度に低下することによって発症する高血糖症候群です。現在の標準治療は自己注射によるインスリンの補充ですが、私どもは成因に対する治療の可能性を探索する目的で、自己免疫を制御することで膵β細胞の破壊を阻止し、インスリン分泌を保持することを目的とした免疫修飾療法に関する国内初の臨床試験を実施しています(2020年末をもって参加者の募集は終了)。また、1型糖尿病患者さんから採取した免疫細胞を膵島抗原で刺激することで、試験管内で人工的に自己免疫反応を誘発し、どのような細胞性免疫反応(T細胞反応)を示すのかを解析する基礎的な成因研究も行っています。この解析データを基盤として膵β細胞特異的な免疫学的介入法の探索につなげられないか、期待をしているところです。

多くの1型糖尿病患者さんでは摂取する炭水化物量に応じて緻密にインスリン投与量を決定するカーボカウント療法を行います。私どもはこの治療の負担軽減、技量の均てん化を通じた患者QOLの向上を目的として、スマートフォンアプリ(AIカーボカウンターアプリ)を産学連携体制で開発しています(図:CARB-LIFEプロジェクト:https://carb-life.jp)。このアプリでは食事画像解析を通じて摂取炭水化物量を解析し、それを元にインスリン投与量を算出できます。現在、アプリの安全性・有効性を検証するための特定臨床研究を実施しており、将来的には収集したデータを用いたAI開発に繋げていければと考えています。

電子カルテ情報等を用いた臨床観察研究、疾患レジストリ研究

電子カルテ情報等を用いた観察研究、レジストリ研究も実施・支援しています。例えば、糖尿病患者における糖代謝状況を予測するための因子について電子カルテ情報を用いて探索する研究や、オールジャパン体制で実施している疾患レジストリ研究「日本人1型糖尿病の包括的データベースの構築と臨床研究への展開(TIDE-J研究)」などに携わっています。今後も、診療科とのコラボレーションを通じて様々な臨床研究を展開できればと考えています。

診断・治療効果・薬剤感受性等のデータ分析研究

他部門と共同で、抗がん剤の薬効やウィルス感染力に関する分子シミュレーション研究や、画像診断の妥当性や治療効果の評価等の臨床研究のデータ分析に携わっています。

学部・大学院担当科目

医学部

大学院